IR背面調査-1【氷川丸(山下公園)】
ご挨拶
Masaです。
今回からカジノ免許申請者に対するカジノ管理当局による調査の実例を見ていきます。
マサチューセッツ州のカジノ管理委員会では、そのホームページで免許申請者に対して実施した調査結果を公表しており、トップページのNewsの中の"REPORTS & PUBLICATIONS"を開くと詳細な調査レポートを見ることができます。
一部の情報は黒塗りされているものの、調査対象者、調査項目、調査手法、調査結果に基づく評価などが網羅されており、これからカジノ免許を申請しようとする事業者やその役員等にとって大変参考となるレポートです。
今回から説明する予定の調査レポートは、Blue Tarp redevelopment, LLCという会社に対する2013年のレポートです。
このレポートは、カジノ管理委員会の調査部門の責任者から委員会委員長に対して宛てられた調査結果を示す12ページのレターと600ページ以上の詳細な調査事績の報告書からなっています。
Blue Tarpの親会社は、大阪に進出を予定しているとされるMGM RESORTS INTERNATIONALであり、Blue Tarpについての調査は、実質的にはMGMとその役員等に対する調査でした。
調査において免許付与を左右しかねない極めて重大な問題が存在したことから、MGMのCEOを含む多くの役員に対し宣誓をさせた上での質問調査が行われております。
膨大なレポートの全てを紹介することは出来ませんので、今回は、調査部門の責任者がカジノ管理委員会の委員長等に宛てたレターの概要について記載し、次回以降に調査の主な項目やその中で特に問題とされた部分について説明していこうと思います。
なお、カジノ管理委員会による申請者に対する調査は、申請者が免許付与に真に値する人物であるか否かについて、その人的素行履歴と財務履歴とについて調査するものですが、一般的には "Background Investigation"(背面調査)と呼ばれています。
レターの概要は、下表のとおりですが、冒頭部分の原文は次のとおりです。
November 27, 2013
Stephen P. Crosby, Chairman Gayle Cameron,
Commissioner James McHugh,
Commissioner Bruce Stebbins,
Commissioner Enrique Zuniga, Commissioner
Massachusetts Gaming Commission 84 State Street, Suite 720 Boston, MA 02109
RE: SUITABILITY INVESTIGATION FOR BLUE TARP reDEVELOPMENT, LLC, APPLICANT FOR A CATEGORY 1 GAMING LICENSE
Dear Chairman Crosby and Commissioners,
Blue Tarp Redevelopment, LLC ("Blue Tarp") has applied to the Massachusetts Gaming Commission ("MGC") for a Category 1 license pursuant to M.G.L. Ch. 23K.
Pursuant to M.G.L. Ch. 23K section 12, the Investigations and Enforcement Bureau (IEB) of the MGC was tasked with conducting a suitability investigation of each applicant for a gaming license. The MGC recognized that these types of investigations are unprecedented in Massachusetts and that it would be impractical to staff these investigations internally under the expected time frames for licensure. Accordingly, recognizing the need for expertise in this area, the MGC posted a Request for Response (RFR) in order to obtain the services of expert gaming investigators to work with the IEB in this process. 205 CMR 115.03(1) There were two responses received by the MGC and the Commission made the award to the joint application from the consulting firms of Spectrum Gaming and Michael & Carroll. The Spectrum team was assigned to assist the IEB with the Blue Tarp investigation.
申請企業 | Blue Tarp redevelopment, LLC |
調査報告書の宛先 | マサチューセッツ州カジノ管理委員会委員長、各委員(4名) |
年月日 | 2013.11.7 |
件名 BLUE TARP reDEVELOPMENT, LLCに対するカテゴリー1の免許付与のための調査 |
SUITABILITY INVESTIGATION FOR BLUE TARP reDEVELOPMENT, LLC,
APPLICANT FOR A CATEGORY1 GAMING LICENSE |
概要
・調査対象者及び調査手順等について簡記 ・入札方式により採用した業者名を記載
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法律M.G.LCh.23K section12に基づきカジノ管理委員会の調査部門(IEB (Investigation & Enforcement Bureau of Massachusetts Gaming Commission))が各申請者の適格性調査を実施した。
IEBのみでは所要期間内の調査履行が困難と思料されたことから州警察(MSP)及び専門業者(Spectrum Gaming)による合同調査を実施した。 申請者及び調査対象者は、M.G.L.c.23K §13(a)ほかで定めるアプリケーションを提出している。 |
判断基準(Statutory Criteria) | マサチューセッツ州のカジノ法(M.G.L.c.23K)で定められている申請者を判断する基準について列記されています。
・重罪等の犯歴 |
調査事項 | ・公的データベースの確認 ・現有及び失効の免許、特にGaming Licensesの保有状況の確認 ・法令順守履歴調査 ・Websiteの確認 ・株券または株券登録証等に基づく企業等の実質保有者の確認 ・申請者等の財務健全性等分析 ・海外腐敗防止法及びマネーローンダリング対策法等抵触調査 ・自動車等運転免許、履歴の調査 ・過去の事業活動の調査 ・カジノ法規にたいするこれまでの適合性調査 ・訴訟履歴調査 ・政治献金調査 ・犯歴調査 ・信用情報調査 ・学歴調査 ・職歴調査 ・面接によるインタビュー ・全ての職業免許の検証 ・申請者の事業に関連する組織及び個人の調査 |
調査結果に基づく評価(推薦勧告等) | RECOMMENDATION 「条件付推薦」 IEBは以下の条件が満たされることを前提に申請者がCategory1のカジノライセンス付与に係る適合性を満たす旨委員会に勧告する。 1*Christiansenマターに係る申請者による委員会への説明 2マカオ事業の適合性に係る申請者による委員会への説明 3略Category1 Licenseが付与されるならば、委員会においては、以下の事項についても考慮されたい。 1ドバイワールドを含めた申請者等のownership, members,…の変更に係る速やかな報告 2United States Currency and Foreign Transactions Reporting Actの順守 3Terry Christiansenからのいかなる接触に応じないこと 4Terry Christiansenが接触してきた場合、10日以内に報告すること 5マカオ事業に関する書類の適時提出 6ドバイワールドからの4半期ごとの事業許可証明等の提出 7ドバイワールド及び関連事業体からの年次財務諸表の提出 このreportはIEBの調査により本日までに判明した事項です。このreportは、委員会による免許付与の最終審査に直結するものではなく(Phase2の)委員会における最終判断の際の判断材料の一部であることを申し添えます。 *Christiansenマター は、カジノ管理委員会の質問調査(インタビュー)を知る上で大変興味深い問題ですので、後日、取り上げるつもりです。 |