個人経歴開示フォーム-6【観音崎から望む東京湾】
ご挨拶
Masaです。
今回からは財務情報についての設問です。
財務情報については、今回から3回に分けて説明してゆきます。
複数管轄権個人経歴開示フォーム(MJPHDF)の記載内容(No39~No47)
今回は、破産や民事再生などの有無や相続・信託についての設問です。
カジノ免許を申請する方々のほとんどは暴力団や反社会的な組織とは関わりなく、これまでの犯罪捜査歴等に関する設問に該当すると答える方は少ないと思いますが、ここからは全ての申請者にとって大変重要な設問が続きます。
申請者にカジノ免許を付与するために行われる背面調査の基本的な目的は、申請者について、
1「反社会的な組織や人物と関わりがない」
2「脱税やマネーローンダリング等の財務面での不正を行わない」
そのような人物であることを明らかにすることです。
これからカジノ免許の申請をしようとする方であれば、ほとんどの方は犯罪歴がなく反社会的な組織と直接関係していることもないと思います。
しかし、申請者がカジノ免許を付与するに相応しい金銭的にフェアな人物であるかどうかは、申請者が開示した情報に基づき、カジノ管理委員会の調査チームが十分な調査をした上でないと当局は判断しません。
ネバダ州などのカジノ管理委員会では、申請者やその申請者が影響力を持つ法人等に関して、脱税、資産・負債の隠匿、保有資産の資金源の非開示、公的に認められた慰謝料の未払などの事項がないか入念な調査を行っています。
カジノ管理委員会が行う調査については、マサチューセッツ州のカジノ管理委員会がそのホームページで公開しており、後日機会がありましたら、そのうちの重要と思われる調査事例を紹介したいと思います。
今回は、MJPHDの設問の39から47について載せます。
設問の内容は下表のとおりで、左から英語の原文、日本文を記載し、左の備考欄に設問項目や対象となる期間を簡記しています。
概要を簡記しますと、39はこれまでに申請者が負っている債務に関して債権者から債権執行を申し渡されたことがあるかという設問で、後述する40及び42~44の設問に該当する事実があれば、必ず39の回答はYesとなります。
設問の40は申請者本人の破産、清算、再生手続の有無、41は申請者が5%以上の株主であったり役員等として影響力を有する事業体の破産、清算、再生手続の有無、42は清算手続中等の事業体に影響力のある立場で所属したことがあるかを尋ねています。また43では申請者の給与等に対する債権差押えの有無、44ではローンで購入した車両などの動産や不動産に対しローンが支払えずに占有の回復がなされたことがあるかが聞かれています。
いずれも申請者や申請者が深く関与する事業体が財務的な困難に陥った事実があるかを尋ねており、該当する事実があれば、その後どのような手法でその困難を乗り越えて現在は財務的な懸念がないなどをアピールする必要があります。
カジノ管理当局は、財務上の困難から回復する過程で、財産隠匿や偏波弁済などのアンフェアな行為がなかったかについても注意深く見てきます。また42の設問のように、破綻状態や政府の監視下にあるような事業体(例えば一時期のJALや現在の東京電力などが該当すると思います。)に役員等として就任したばあい、申請者がどのような能力や手腕でその状態を脱却若しくは終息させたかも見てくると思います。
45~47は、遺産相続と信託に関する質問です。
財産の委託者、受託者、受益者という立場であったことがある場合、それぞれの立場で求められる法律上の義務をきちんと果たしたのかが問われるとともに、それらの信託関係に反社会的な人物が介在していないかも見てきます。
特に重要な立場は信託の受託者や遺産管理人で、そのような立場におかれた者が委託者から託された財産を違背することなく適切に管理・運用・分配するなどして、受託者に求められる信認義務を適切に果たしたのかチェックされます。
また、受益者や遺産の相続人であれば、得た利益を正しく申告しているかも確認してくると思います。
FINANCIAL DATA 39. Have any individual, local, city, county, provincial, state, Federal, national, or any other governmental liens/debts been filed against you as an individual, sole proprietor, member of a partnership, or owner of a corporation in any jurisdiction? If yes, complete the following chart:NATURE OF LIEN/DEBT WHEN FILED WHERE FILED CURRENT STATUS |
財務情報 39.これまでに、いずれかの管轄における、個人、個人事業者、パートナーシップの構成員又は法人の所有者である申請書を提出すべき者に対して、個人・地方・市・郡・州・連邦・国家・その他の政府のリーエン(留置権・先取特権)又は債務の執行を申し立てられたことがあるか。 該当する場合は、以下に記載すること。リーエン・債務の内容 申立時期 申立場所 現在の状況 |
債務執行申立て (全期間) |
40. Have you personally ever been adjudicated bankrupt or filed a petition for any type of bankruptcy, insolvency or liquidation under any bankruptcy or insolvency law in any jurisdiction? If yes, complete the following chart:DATE FILED DOCKET/CASE NUMBER NAME AND ADDRESS OF COURT NAME AND ADDRESS OF TRUSTEE |
40.これまでに、申請書を提出すべき者は、各管轄上の破産又は支払不能に関する法律に基づき、破産(支払不能)の決定を受けたり、あるいは破産、再生又は清算のための申立てを行ったことはあるか。該当する場合は、以下に記載すること。
申立年月日 |
破産、清算、再生手続 (全期間)*US Chapter 7 清算型破産、管財人必置、原則債務者申立て(債権者申立可) *US Chapter 11 再生手続、原則として管財人不在、債権者、債務者の双方申立可 *US Chapter 13 個人再生、管財人必置、債務者のみ申立可 |
41. In the past twenty years or since the age of 18, whichever is less, has any business entity in which you held a 5% or greater ownership interest, or in which you served as an officer or director been adjudicated bankrupt or filed a petition for any type of bankruptcy or insolvency under any bankruptcy or insolvency law? If yes, complete the following chart: DATE FILED DOCKET/CASE NUMBER NAME AND ADDRESS OF COURT NAME AND ADDRESS OF FILING PARTY NAME AND ADDRESS OF TRUSTEE |
41.過去20年間又は18歳以降現在までのいずれか短い期間において、申請書を提出すべき者が5%以上の持分を所有していたか、執行役員又は取締役であった事業体が、各管轄上の破産又は支払不能に関する法律に基づき、破産(支払不能)の決定を受けたり、あるいは破産、再生のための申立てを行ったことはあるか。 該当する場合は、以下に記載すること。 申立年月日 訴訟事件・裁判事件番号 裁判所の名称及び所在地 申立人の氏名及び住所 管財人の氏名及び住所 |
関与する事業体の破産、再生 (過去20年∩18歳~) |
42. Have you as an individual, member of a partnership, or owner, director or officer of a corporation ever been in a business entity that has been in liquidation, receivership or been placed under some form of governmental administration or monitoring? If yes, complete the following chart: NAME AND ADDRESS OF BUSINESS ENTITY YOUR RELATIONSHIP TO BUSINESS ENTITY DATE PLACED UNDER LIQUIDATION, RECEIVERSHIP, ETC. REASON PLACED UNDER LIQUIDATION, RECEIVERSHIP, ETC. PRESENT STATUS |
42.これまでに、申請書を提出すべき者は、清算手続中であったり、管財人若しくは何らかの形の政府の管理や監視下におかれた事業体に、個人、パートナーシップの構成員、又は法人の所有者、取締役若しくは執行役員として所属したことがあるか。 該当する場合は、以下に記載すること 事業体の名称及び所在地 申請書を提出すべき者と事業体との関係 清算手続又は管財人等の管理下におかれた時期 清算手続又は管財人等の管理下におかれた理由 現在の状況 |
清算中又は政府監視下事業体への所属 (全期間) |
43. Have your wages, earnings, or other income been subject to garnishment, attachment, charging order, voluntary wage execution or the like during the past ten year period? If yes, complete the following chart:DATE FILED DOCKET/CASE NUMBER NAME AND ADDRESS OF COURT NATURE OF OBLIGATION AMOUNT OF OBLIGATION NAME AND ADDRESS OF HOLDER OF OBLIGATION |
43.過去10年間において、申請書を提出すべき者の賃金、収益、その他の所得が 債権差押(garnishment) 差押(attachment) 負担賦課命令(charging order) あるいは賃金控除方式による任意弁済(voluntary wage execution) 等の対象とされたことがあるか。 該当する場合は、以下に記載のこと。 申立年月日 訴訟事件・裁判事件番号 裁判所の名称及び所在地 債務の内容 債務の金額 債権者の氏名及び所在地 |
債権差押 (過去10年間) |
44. In the past ten years, have you ever had any property, real or personal, repossessed by a finance company in any jurisdiction? *have + something + P.P. If yes, complete the following chart:TYPE OF PROPERTY DATE REPOSSESSED NAME AND ADDRESS OF COMPANY REPOSSESSING PROPERTY REASON FOR REPOSSESSION |
44.過去10年間において、申請書を提出すべき者は、各管轄下において、金融会社により、動産または不動産の取戻しをされたことがあるか。
【記載項目】 |
動産又は不動産の差押 (過去10年間) |
45. During the last ten year period, have you been: a. An executor(trix), administrator or other fiduciary of any estate; b. A beneficiary or legatee under a will or received any thing of value under an intestacy statute; or c. A settlor/grantor, beneficiary or trustee of any trust? If yes, complete the following chart as to each estate and trust:NAME AND LOCATION OF ESTATE/TRUST POSITION/ INTEREST HELD DATE(S) ON WHICH POSITIONS WERE HELD OR INTEREST WAS RECEIVED AMOUNT OF COMPENSATION OR NATURE AND VALUE OF BENEFIT GRANTED/RECEIVED |
45.過去10年間において、申請書を提出すべき者は、 a. 遺言執行者(executor) 、遺産管理人(administrator)又は、何らかの財産の財産の受託者(受認者)となったことがあるか。 b. 遺言に基づく受益者又は受遺者、無遺言相続法に基づく財産の受取人となったことがあるか。 c. 信託の設定者・みなし自益信託の設定者、受益者ま たは受託者となったことがあるか。 該当する場合は、以下に記載すること。 遺産・信託の名称及び所在地 申請書を提出すべき者の立場・保有した資産(持分) 立場となった年月日又は資産(持分)を受領した年月日 報酬の総額又は給付・受領した価値の内容及び金額*intestacy statute 無遺言相続。遺言がない場合や遺言が無効な場合、遺産管理人指定の申立てを経て、裁判所が管理人を選任する。 *Grantor trust みなし自益信託。信託設定者が、信託財産の元本、収益又はその双方について、所得税法上財産及び収益の所有者とみなし得るほどに支配権を留保している信託 |
遺言及び信託の当事者経験 (過去10年間) |